グリーフ(悲嘆)とは

人は、大きな喪失を経験した時に、世界が今までとは全然違うものになってしまったと感じます。そして後ろを振り向き、失ってしまったものを求め、なんとか取り戻したいと思いますが、それは無理なことを知り、悲しみます。なぜ自分が望みもしないのに、こんなことになってしまったのか、答えの出ない問いを発し続けます。これがグリーフ(Grief)です。 グリーフの反応は、心理的、肉体的、認知的、行動的、スピリチュアルなど様々な側面で起こります。グリーフは「悲嘆=悲しむこと」と訳されますが、この後見るように、悲しむという感情面のみならず、非常に広い意味での反応を意味しますので、このサイトではグリーフをそのまま使用しています。

グリーフとは

喪失への正常な反応

グリーフは、大切な人との絆が引き裂かれたという喪失への、正常な、正当な反応です。
まず、グリーフは、様々な心の反応として遺された者にその姿を現します。悲しみ、思い焦がれる気持ち、繰り返し思い出される過去の出来事、罪悪感、時には怒りや恨みとして、心の中を渦巻きます。しかし、グリーフは感情面だけでの反応ではありません。グリーフは肉体的な反応、認知・行動的な反応、スピリチュアルな迷いとしても訪れます。
そして、グリーフへの反応は多様なだけでなく、その現れ方も一様ではありません。ある時は強く、ある時は弱く、引いたかと思えば、何かの要素に刺激されて、以前より強く再来し、時間単位、週単位、月単位で波のように押し寄せるように感じられることもあります。ある個人が経験するグリーフは様々な要因に影響され、経験する人により指紋のように様々です。
痛みがあるのは、そこにかつて強い絆があり、そして、今でもある証、と言っても良いでしょう。苦しみが強いのは、その絆が遺された者にとってかけがえがなかった証でしょう。しかし、その痛みはあまりに強く、辛く、「こんなに苦しむのは病気ではないか」と遺された者が心配するほど、自分自身をコントロール出来なくなってしまうようなケースも見られます。

グリーフの様々な反応

心理的 悲しみ、怒り、罪悪感、ショック、思慕、嫉妬
肉体的 頭痛、めまい、疲労、息切れ、震え
認知的 信じられない、集中できない、霧がかかったようで現実と思えない、故人を感じる
行動的 涙が止まらない、引きこもる、故人を探す、落ち着かない、過活動、睡眠障害
スピリチュアル 虚無感、生きている意味が解らない

参考リンク:グリーフワーク喪失は全人的な痛みノーマルなグリーフのプロセスグリーフはなぜ起こるのか