社会に働きかける

喪失を社会のために役立てる

親しい人が亡くなった時、その死を何らかの形で、有益な目的のために役立てたいと考える人もいます。あるいは亡くなった人の遺志を生かしたいと思う人もいます。遺された者がそのために何らかの活動を起こす事、それが死をきっかけとした界への働きかけです。

たとえば、歌手のカレン・カーペンターは拒食症で早死にしましたが、その両親は遺産の一部を使って、拒食症の研究機関を設立したと言います。有名なMADD(飲酒運転に反対する母の会)は、13歳の娘を飲酒運転の事故で失ったキャンディス・ライトナーが1980年に設立し、今では国際的な機関に成長しています。

しかし、皆が皆、ここに挙げたような、「偉大な」活動をする必要はないと思います。見通しの悪いカーブで交通事故にあった子供の父親は、市に掛けあってカーブミラーをつけさせました。ガンで妻を失った男性は、1回忌の香典をがんの研究機関に寄付しました。遺された者が、それぞれ出来る範囲で、故人の死を何らかの形で社会に役立てたい、と言う気持ちを形に変える事は、遺された者にとっても、亡くなった人にとっても誇らしい活動と思うのです。
あなたにできるのは、物質的な事だけではありません。少なくとも、大切な人を失った経験がある者は、周りに親しい人を亡くした人があれば、自分の経験を活かして声をかけ、心から寄り添う事が出来るのではないでしょうか。