悲しみの中にある人への指針

このセクションは、大切な人を亡くした方、そしてそういった方を家族として、友人として支えたいと思っている方を読者と想定して書かれています。死別の悲しみの強さに驚き、戸惑い、「この辛さを、どの位耐えていかなければいけないのか」、「自分はおかしくなってしまうのではないか」と感じている方々に、グリーフとは何か、どんなことが起こりえるのか、喪失と付き合っていくのにはどうしたらよいのか、などの実践的な方法を紹介したいと思います。

※ここにある情報は出来るだけバランスを取り、また、正確で有益であることを目標としています。ですが、情報を取捨選択するのは読者の皆さんですので「役に立つと思う考えは取り入れ、そうでないものは無視する」事としてください。

悲しみの中にある人への指針

グリーフへの実践的な付き合い方の紹介のまず最初はグリーフとの付き合い方についての役立つリストです。こういったリストは、ある程度一般化しないといけないのは承知ですが、お役にたてるのではないかと思います。
(参考資料:ジョン・H・ハーヴェイ「悲しみに言葉を」の中に紹介されている「生と死のためのセンター」が薦める心得、グロルマンが『愛する人をなくした時』の中で書いている「死別の悲しみを癒すためのの指針」など)

1、喪失を現実のものと認める。

  • 心から喪失を受け入れるのは、簡単なようで難しい事を理解しましょう。
  • 悲しみを無視したり、大丈夫と振る舞って、喪失を遠ざけてもいつかは自分で向き合う必要があります。

2、自分の感情はどのような物もすべて受け入れ、表現する事を恐れない。

  • 自分の感情がコントロールできない、泣くのは弱いなど、自分を責める必要はありません。悲しいときは、悲しいのは仕方がない、と認めてあげることで、逆に気持ちが楽になってきます。
  • 時にネガティブな感情(怒りや不公平感)が胸に湧き上がる事もありますが、そういう感情も受け止めましょう。

3、自分の弱さを隠さずに示し、痛みを分かち合ってもらい、周囲の支えを受け入れるだけの謙虚さを持つ。

  • もちろん話したくないのに、無理やり話すことではありません。しかし、共感を持って聞いてくれる友人、家族、自助グループの遺族の仲間などに、自分の聞いてもらいたいことを話しましょう。
  • 自分が助けを必要としていることを認めて、ありがたく援助を受けましょう。
  • 心的な援助を受ける事が難しければ、実務的な援助を受けるだけでも助けになります。
  • 参考リンク:出来事と思い出を語る

4、あせらずに時間をかける。癒しの過程は、たどたどしくも着実に歩みを進める性質のものである。

  • 哀しみがすぐ消えたり、、あるいは決まった時間で弱まるという事を期待しない方が賢明です。グリーフと上手に付き合っていくのには時間がかかり、人それぞれのペースがあります。

5、十分な休養を取り、日常の決まった用事もきちんと時間をかけて行なう。

  • 健康的な食事、家の整理整頓、軽い運動、リラックス、健康的なストレス解消を時間をかけて行うよう心がけましょう。
  • 死別から間もない時期や、疲れているときに無理をしてはいけません。できる範囲でよいのです。

6、今は強力で圧倒されるような感情も、いつか弱まることを知っておく。

  • なかなか信じがたい事だとは思いますが、グリーフの激しく、鋭い痛みはいつか軽くなります。その日がいつか来ます。

7、形見の品を服喪の助けとする。過去を生きるのではなく形見と共に現在を生きる。

  • 過去のよい思い出や、思い出につながる物、音楽、場所を大切にしましょう。
  • それらを目にすることが辛いがために、衝動的に全てを処分をする人がいますが、冷静になるまで遺品の処理は待った方が賢明です。
  • 関連リンク:故人を身近に感じる

8、重要な決断をしたり、反動で親しい関係を持つことを避け、、習慣性になるものに頼らない。

  • 離婚、退職、引っ越しなど大きく環境を変えるような決断をする事避けましょう。
  • 「代りの関係」「穴埋め的関係」が魅力的に見えることがありますが、ほとんどは失敗します。
  • 睡眠薬、アルコールへの過度の依存を避けましょう。

9、日記をつけ、心にある事、上手くいったこと、大変だったことを記録する。

  • 日記は打ち明けるのも大変な事でも書くことが出来ます。
  • 長文でなくて構わないので、毎日続けましょう。
  • 参考リンク:想いを記す

10、変化に対して心の準備をし、歓迎する。新しい関心、新しい友人、孤独、創造性、成長が待っている。

  • 大切な人を亡くして、一人暮らしになったり、新しい役割をこなさなければいけないといった難しさがあります。
  • しかし同時に、新しい関心や出会いもあり得ます。変化の兆しが現れることを期待しましょう。友人からの外出の誘いを「どうしようか」と迷うようになったらチャンスです。思い切って了承してみませんか。
  • 新しい役割をこなすのには新しいスキルの習得が必要かもしれません。例えば、料理、子供の宿題、車の点検管理、庭の木の剪定など。スキルの習得に喜びを見出すと共に、その役割を担っていた故人との一体感を経験出来るかもしれません。
  • 参考リンク:新しい役割を引き受ける

11、(自分自身および他者を)許すことが癒しの過程の重要な一部分であることを認識する。

  • 自分や他人のしたこと、しなかった事、出来なかった事を許す事が、喪失との共存には重要です。
  • 許すことは簡単ではありませんが、許すことが重要である事を認識しましょう

12、祝祭日や記念日になると、すでに折り合いを付けたと思っていた苦しい感情が再び沸き上がる可能性があることを知っておく。

13、小さな喜びを認め、大切にする

14、他人の言動と、自分の反応を予測し備える

  • グリーフの只中にあるあなたは、ほかのどんな時より神経が敏感になっています。他人のちょっとした一言で傷ついたり、無神経な言動に簡単に怒りを爆発させ、人を遠ざけてしまったりしないようにしましょう。

15、支援ソースを見つける

  • 周りの人からの好意による支援は、思ったより早く枯渇してしまいます。物心両面の支援ソースを見つけることが重要です。
  • 物理的:家事、食事、掃除、学校送迎等に関するヘルパー。財務の見通しの検証
  • 心理的:長期にサポートしてくれる友人、家族はいるか。いない場合自助グループの利用を検討する

16、具体的で実現可能な目標を見つける

  • 具体的実現可能な予定や目標を立て、実行しましょう。一週間後位の予定(美容院に行く)、2-3日で出来る用事(礼状を3通書く)が良いでしょう。一つの達成が次の計画の励みとなります。出来ないことは計画しないことが大切です。