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公認されないグリーフ

公認されないグリーフとは

通常、大切な人を亡くした場合、その死を公に悲しむ機会が与えられ、その儀式的な形態として葬儀があり、家族や周囲の人々からのサポートがあります。しかし、ある種の特殊な人間関係や状況の中ではこういった通常与えらえる権利がなく、全くの暗闇の中で孤独にグリーフに対面することがあります。これを公認されないグリーフと呼んでいます。
公認されないグリーフは、そのグリーフの存在を公表できないことからグリーフワークが進まず、回復に長い時間がかかったり、複雑なグリーフに陥りやすいと言われています。

例えば、ゲイのパートナーの死を考えてみましょう。長年付き合い一緒に住んでいたパートナーの具合が悪くなり、本人の希望もあって親族に連絡をした。ここまでは当たり前のように感じますが、ゲイの男性の場合は通常の夫婦の場合とは違って、以下のような状況に直面する事があります。

こういった形で、ゲイのカップルの別れは、故人と遺されたパートナーの意志に全く関わりなく起り、怒りと罪意識は、一般の遺族より強くなります。そして、葬儀といった公に悲しむことが出来、友人や親せきからサポートを受けれれる機会も剥奪され、深く静かに悲しみは内にこもっていきます。

関連リンク:複雑化したグリーフ

様々な公認されないグリーフ

公認されないグリーフのコンセプトを最初に出版したケニス・ドゥカは、公認されないグリーフを以下のように(これらには限定されない、と断っていますが)カテゴリー化しています。

関係が認識されていない

故人との関係が長期的で、遺されたものにとって重要かもしれないが、そういった「悲しむ関係」であることが認識されていないことから十分に悲しむ機会を与えられないケースです。

関係が公でない

公的に認められていない、秘密的な関係があります。

喪失が過小評価されている

周産期の場合、喪失の事実をごく限られた人しか知らなかったり、誕生しなかったことでその死を過小評価されていて、また、男性のパートナーや親族の理解不足が大きく、喪失を話題にできないことがあります。

高齢者の場合は「亡くなっても適当な年齢」というものがあり、それを超えると「大往生」などと言われて正当な評価がされないことがあります。

悲しむ能力を疑われている

社会から悲しむ能力がないのでは、と思われている人々にはので死の事実を伝えられない、葬儀に呼ばれない、温かい言葉をかけれらない事があります。

死の状況が秘密

対社会だけでなく、家庭内でもその死を話題にしないことがあるほど死を語りにくい死の状況もありす。